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しらせ [ぐだぐだ]


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 最初のしらせは、
 伯母の携帯からだった。

 
 午後7時半すぎのこと、仕事で
 神田にいた弟は、即、東京駅へ行き
 広島どまりの最終新幹線に乗り、
 下松までレンタカーを飛ばしたけれど
 三鷹にいた私にはどうしようもない時間だった。
 大慌てで仕事の段取りをつけ
荷造りをして、
 新幹線の始発を待つしかなかった。

  
  “なんとか意識のあるうちに、お子さんと会わせよう”と、
   主治医が私たちを呼び戻させたのだが、
  父は私たちを認識できていなかっただけでなく
   私たちからも“こんなのお父さんじゃない”としか思えないような、
    ゾンビと獣の混ざったみたいな状態だった。

  
                                     
  
父は2~3日で意識と理性をかなり取り戻し、
  話もできるようになったし、私たちは親孝行の真似事もできた。
  弟は、退院後の話までしながら、一足先に
  横浜に戻っていった。
  私もある朝、夕方の新幹線でいったん東京に戻ろうと
  スーツケースを持って病室へ行った。
  だが、朝の光の中、父はひどく弱って見えた。
  私は帰京を取りやめた。


  それから1日。力は薄れていきつつも、父は穏やかだった。
  この状態がしばらく続くのだと思えた。

  早目に床についたその夜、私はなかなか寝つけず、
  うとうとっとしたところで、ハッと目が覚めた。
  ベッドで体が上下に揺れている。地震かと思った。
  だが、それは自分の鼓動だった。
  何かの入り口で友達に話しかけられて「やだ、間に合わない」と
  焦っている夢を見ていた。


muf1.gifmuf2.gifmuf3.gif  母から電話でしらせがあったのは、
  その直後だった。


  病室に駆けつけたとき、父は
  心臓マッサージを受けていた。
  主治医はその後で、臨終の宣告をしてくれた。
  でもたぶん、父の命の火が消えたのは、
  私が「間に合わない!」と目覚めた瞬間だったのだろう。
  

  安手の怪談みたいだけど、私は、あれが
  しらせだったと信じている。信じたい。
  父がしらせてくれたのだ、と。

  

 


タグ:別れの挨拶
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nomu

こちらには初めてお邪魔しました。
そしたら、お父様のことが書かれてありました。

予感・・・とか、虫の報せ・・・とか、実際にあるんですよね。
科学的には説明できないことが・・・。

お父様のご冥福を、改めて心よりお祈り申し上げます。
by nomu (2009-05-09 10:34) 

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